ソフトウェアエンジニア、家を買う

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最高の夏を迎える中庭

前回の記事投稿からだいぶあいていますが、あいかわらずGAFAではない会社でソフトウェアエンジニアをしています。今回は最近の個人的な大仕事であった家を買った話を書きます。ちなみにこの記事にソフトウェアエンジニア要素はほぼないので釣りタイトルになります、ただプロダクト設計やプロジェクトマネージャー的な感覚は必要になって非常に面白かったです。

注意事項: この記事は素人の個人的な意見や感想です、また家に関して何が一番良いかは人それぞれなのでそういった議論もしません。

なぜ家を買ったのか?

子供の小学校入学前であることコロナ禍であることで決断しました。元々、自分や妻のキャリアや子供のことなども含め賃貸で暮らしてきましたが、子供も大きくなり小学校入学前には持ち家を買いたいなと漠然と考えていました。大体2年前くらいから都内で4LDKの戸建てやマンションを探していて、実際に買う寸前までいった新築マンションもあったのですが、抽選で外れたりといった経験もしました。それでも住んでいた分譲マンションの賃貸の住み心地も悪くないし焦ったりはしませんでした。

そういった経験を経てコロナがやってきて状況は一変しました。夫婦ともにリモートワークで1日中、家の中にこもる生活がずっと続き、マンションで自由にできる庭もないし、私の書斎には窓がなかったので、陰鬱とした気分になることが度々ありました。また、リモートワークに合わせて弊社も他のIT企業も働き方が変わっていく雰囲気があり、これからもリモートワークはしばらく続くしアフターコロナでもおそらく毎日出社する生活には戻らないだろうという目算もああったので、広くて快適に過ごせる戸建てを買うぞという気持ちに大きく傾きました。

どういう家を買ったのか?

我が家の家族構成は、夫婦+子供2人です。夫婦二人ともリモートワークで日中にリモート会議も頻繁にあるため、仕事部屋2つは必須でした。それに加えて子供2人の部屋と寝室を考えると5LDKがマストになります。この時点でマンションという選択肢は消えました。

そうして5LDKの戸建てを探す日々になったのですが、そのような物件はあまり数が多くありませんでした。今、私が住んでいる地域で見ると大体半年に1件出るかなという程度で、ほとんどの戸建て物件は4LDKでした。このような状況で我々がベストだと思う家を探すのは厳しいなと感じ、途中から土地から探す、という方向にシフトして結局のところ土地+注文住宅で家を建てることにしました。

どこに家を買ったのか?

 利便性や資産価値を考慮すると区内や23区に隣接する場所が良いのは間違いないのですが、とてもじゃないですが手が出ませんでした。探せば50平米の土地に3階建て5LDKの家を建てることはできるかもしれませんが、元々の広くて快適に過ごせる家からはちょっと遠くなってしまいます。またもう出社する頻度は高くないことも考慮して、少し郊外の地域で区内へのアクセスもさほど悪くない場所で探しました。結局のところ、元々住んでいた地域が郊外でそれなりに割安、必要なものは全て揃うという地域だったため、ここで家を買うことにしました。これは土地勘がある、また子供の保育園の転園が不要という要素も大きかったです。

どうやって家を探したのか?

基本はSuumoを全力監視です。毎日毎日Suumoを開いてはため息をつく生活でした。当たり前ですが、自分たちが住みたい家(または土地)は他人も同じように住みたいと思うはずです。駅近、スーパーの近さ、土地の広さ、家の設備、自分たちが求める家を追求していくと家の価格はどんどん上がっていきます。コスパの良い家なんてないんだなというを強く感じました。それでもいくつかやり方はあって、私が経験したのは、(1)不動産屋に内見を依頼したり資料請求すると似た条件の不動産が出たときに優先的に連絡が来る、(2)Suumoに出ていた値段だと高いなと思って内見に行くと値下げの話が出てくる、といったパターンです。(1)に関してはSuumoにも載っていない物件を紹介してもらったこともありました。こういった物件はまだ多くの人の目に触れてないので意外な掘り出し物に出会えることもありました。そして(2)に関してはわりかしよくあることだと思います、新築分譲物件でも売れ残っていたりすると値引きを提案されることがありました。どれも、実際に内見に行ったり資料請求したりといった買う意思を不動産屋に示す必要がありますので、Suumoをずっと眺めているのではなく、実際に行動に移すことが重要でした。

注文住宅

紆余曲折あり、土地を買って注文住宅を建てることになりました。これは結局のところ5LDKの家の供給が極端に少ないということが起因しています。供給されないなら自分で建てるか、きっと値段も分譲を買うのに少し上乗せするくらいだろ、という結論は思い返すとかなり思い切ったなぁと思います。家自体に強いこだわりや特殊な要望がない普通の人には、素直に新築分譲を買うことをお勧めします、結局のところめちゃくちゃ高くつきました。

しかし、最終的には自分たちの要望が全て詰め込まれた最高の家を作ることができました。一番のこだわりポイントは、写真にある通りロの字型で家の中央に中庭ウッドデッキがある点です。どこからの視線もなく、子供たちがプールで自由に遊べます。今後はガーデン家具を揃えて落ち着ける空間を作ったり、色々と夢が膨らむ良い家になりました。

家を建てるまでの細かい話

ここからは家を建てるまでのすごく細かい話を私が覚えている範囲で乱雑に書き残していきます。興味のある方だけ読んでください。

都内で家を探す難しさ

最初はマンションや中古等も含めて検討していましたが、高いです。めちゃくちゃ高いです。そして、私が探していた頃よりも都内の不動産の値段はまだまだ上がっているように感じます。しかし選択肢はとても多いです。無数の不動産の中から自分の条件にベストマッチする不動産はないため、なんらかの妥協点を持って探す必要がありますが、その妥協点を探す意味でも不動産を購入するにあたり色々な知識をつける必要がありました。例えば、「借地」であったり「建ぺい率」であったり、前面道路が「何道路」なのかであったり、購入者として知っておかなければいけない知識も無数にあります。それらは、とあるコミュニティSlackの #fudousan チャンネルで有識者に相談したり、YouTube動画を見たり、漫画「正直不動産」を読んで知識をつけました。

土地探しのポイント

土地を探すにあたり、普通に分譲住宅を探すときとは異なるいくつかのポイントがありました。

  • 土地の建ぺい率/容積率
    • 家の床面積がこの比率によって制限されます。第一種低層住居専用地域では40%/80%の比率が多く、100平米の土地を購入しても40平米分しか家を建てることができません。かといって建ぺい率/容積率が高い場所を選ぶと、お隣にマンションが建って日当たりや景色がイマイチになる、なんてこともあるためよく検討する必要があります
  • 古家の有無
    • 更地渡しなら問題ありませんが、古家が残った状態で引き渡されるパターンもあります。こうなると解体費用は買主側の負担になります。この解体費用がくせもので、事前にしっかり見積もっておかないと、アスベストを使った建物、鉄筋コンクリートの建物、立派な庭がある、地下に埋設物(井戸、浄化槽)がある等で解体費用は跳ね上がっていきます
  • 土地の越境、境界線問題
    • 隣家との間の境界線に関して合意が取れているかどうか、また隣の土地から越境物(木の枝や電線等の空中越境)があるかどうかで、後でお話合いになる可能性が高く、そういった問題がないかどうか確認が必要です
  • ブロック塀
    • 昔とは違い、現在は高さのあるブロック塀で控え壁などの措置がないものは違法になっています。そういったブロック塀があると検査に通らないため、控え壁の設置やブロック塀のカットが必要になります。またここで問題になるのが、古い住宅だと隣家とブロック塀を共用しているケースが多い点です。お互いの家の境界線を跨ぐようにして共用のブロック塀がある場合、その扱いは隣人との話し合いで決める必要があります
  • 共用の私道負担の有無
    • 接道が共用している私道しかない場合は特に問題になることがあります。例えば、私道からガスや水道を引く場合、その私道を共用している土地主の全ての方から合意を取る必要があります。多くのケースでは問題にはならないかと思いますが、実際に、共用している私道の持ち主のおじいちゃんに合意をお願いに行くと「よくわからない。よくわからないものにハンコは押したくない」と言って合意がなかなか取れずに苦労したという話を聞いたことがあります
  • 周辺道路の道路幅
    • 接道が4m幅であることはマストにしたいですが、そうでない場合もあります。また接道自体は4m確保されていても、近隣の道路が極端に狭かったり一方通行で不便であったり、見るべきポイントはたくさんあります。よくよく近所の家の駐車場を観察すると、みんな軽自動車やコンパクトカーでミニバンが1台も停まってなかったりすると怪しいです
  • 土地の地盤改良が必要かどうか
    • 家を建てるにあたり、地盤が緩かったりすると家を建てることができませんので、地盤改良工事が必要になります。これはかなり費用がかかります。目当ての土地が地盤改良が必要かどうかは実際に調査するまでは分かりませんが、その土地の地質がどういったものか、また近隣の地盤改良工事の過去の記録の有無等である程度の目星はつけることができます
    • 地盤サポートマップありがとう https://www.j-shield.co.jp/1million/cp2.htm

注文住宅へ求めるもの

ハウスメーカー探しに行く前に、自分たちが注文住宅にどういったものを求めるのか、また言い換えれば注文住宅はどういったことを実現できるのかを書きます。

断熱性能

いわゆる高断熱/高気密住宅が最近のホットワードで取り上げられます。まずは、高断熱(UA値)ですが、高断熱かどうかは断熱形式と断熱材の種類、断熱材の厚みで決定されます。断熱材に関しては、どの断熱材が一番良いかという議論はここではしません、なぜなら素材ごとに熱貫流率(U値)が存在し、断熱性能はそのU値(小さければ小さいほど熱を通しにくい)と厚みで決定されるので、極端なことを言えばU値が高くても分厚く施工すればU値が小さいものに勝る断熱性能が出せるからです。

  • 断熱手法
    • 基礎断熱
      • 家の基礎の部分に断熱材を施工する。床下に外気が通らないため断熱性能は高いが湿気の問題等デメリットもある
    • 床下断熱
      • 一般的な床下に断熱材を施工する方法。
    • 内張り断熱
      • 一般的な壁への断熱材の施工方法。木材と木材の間に断熱材を施工するので木材自体を通して熱が伝わってしまう
    • 外張り断熱
      • 家の柱の木材ごと断熱材で包むようにする施工方法。外と面する部分が断熱材で覆われるので断熱性能が高い
    • W断熱
      • 内張と外張りの両方を実施する。断熱性能ばバツグンだが、お値段も高くなるし、この施工をしている会社は多くない
    • 屋根断熱
      • 屋根裏に断熱材を施工する。小屋裏(屋根裏部屋)が室内の気温と同等になるので、小屋裏収納などへの利用に適している
    • 天井断熱
      • 天井に断熱材を施工する。小屋裏が外気温と同じになるので小屋裏の利用は難しい
  • 断熱材
    • グラスウールなどのウール系
      • 一般的な断熱材はこのウール系が広く利用されている。大手ハウスメーカーでもほとんどウールの断熱材を使用している。ただ、各メーカーごとに使っている厚みが異なるので、きちんと把握する必要がある。またウール系は職人さんの腕次第で施工後の断熱性能や耐久性にばらつきがある。きちんと施工管理をしているハウスメーカーを選ぶことが大切です。また、遮音性能は他の材質よりも上です。
    • ポリエチレンフォームなどのフォーム系
      • 近年の高断熱高気密を売りにしているハウスメーカー工務店はこちらを利用していることが多いです。発泡スチロールのような整形されたブロックで工場から出荷されて現場に届くので、施工のばらつきが少ないです。旭化成のフェノールフォームが断熱材界の王者of王者と自分の中で話題です
    • 発泡ウレタン
      • 最近の技術発展で出てきた新しい断熱材です。吹き付け断熱とも呼ばれており、現場で壁に直接、発泡ウレタンを吹き付けて施工します。隙間なく断熱材を施工できる点で良いです。ただ、新しい施工方法のため現場でどの程度慣れた職人さんが施工してくれるかでばらつきはありそうです

次に高気密について書きます。高気密(C値)とは、家がどの程度気密が保たれているかを表します。例えば、気密が保たれていない家は隙間だらけで、熱が逃げやすいです。この高気密C値は実際の家で計測することができます。我が家も計測してもらってC値は0.6でした。一般的には1.0以下だと良いとされているので、十分に満足できる値になりました。このC値は、住宅の性能を示す指標として重要にも関わらず、ほとんどのハウスメーカー工務店ではあまり重要視されていません。これは憶測ですが、C値自体を上げるためには施工段階でかなりの努力が必要なこと(極端なことを言えば全てのつなぎ目に気密テープを貼るなどで高めることはできる)、一般的な木造住宅は木の経年変化で絶対に家自体が動くので数年後のC値に対して当てにならない、といったことがあるかと思います。

換気システム

これはほとんどの注文住宅ではもう第一種換気を採用していると思うので、詳しくは書きませんが第一種換気良いですよ。

木造かRC造か

お金が無限にあるならRC造がおすすめです。マンション暮らしでマンションの鉄筋コンクリートの防音性能に慣れていると、木造住宅に住むとびっくりすると思います。もちろん我が家も木造なので木造の中での違いに関して少し書きます。

  • 在来工法
    • いわゆる昔からある木造住宅の建て方で、柱や梁と耐力壁で家全体を支える工法です。自由度が高く、また昔からの方法なので対応している大工さんも多いです。しかしツーバイフォーと比べると大工さんの腕に依存しているので施工のばらつきはありますが、リフォームなどへの対応はしやすいです
  • ツーバイフォー工法
    • 壁4面で家を支える建て方です。自由度は在来工法に及びませんが、マニュアル化されており施工のばらつきが少ないことが期待できます。また在来工法よりも安価で短い納期で施工可能なことが期待できます

設計の自由度

いわゆる完全自由設計ができることが注文住宅の強みですが、ハウスメーカーによっては制限があることもあります。また、天井高で窓がとんでもなく大きいリビングなどは木造だと厳しいので鉄筋コンクリートに対応したメーカーを選ぶ必要があります。ただ、こちらは結局のところお金をたくさんかければどんな設計にもできるという結論になります

コスト

こちらが私がハウスメーカーを探している段階で一番驚いたことなんですが、よくCMで見る大手ハウスメーカーなどの単価はめちゃくちゃ高いです。一番初めに某有名ハウスメーカーに相談に行って予算を伝えたら、苦笑いされて現実的な価格感を教えてもらい、膝から崩れ落ちるかと思いました。ネット上では各ハウスメーカーごとに坪単価として大体の単価が出ていますが、実際にはオプションをつけたり諸々の諸費用などを考えると、とんでもない価格になります。みなさん、どうやって家建ててるんですか?

次に考えるのが、ローコストメーカーや地元工務店です。ローコストメーカーは最近なにかと話題のタマホーム(今回我が家は選びませんでしたが)もローコストメーカーに分類できる会社だと思います。これらのメーカーは、広告費の削減、中間コストの削減や標準スペックを下げてオプション化するなど色々な手法で大手メーカーと比べて半値くらいの単価で注文住宅を建てることができます。地元工務店も同様で、設計から建築まで小さい規模感で回すことでコストを下げています。もちろん、安いからと言って品質が悪いということには直結しません。大手メーカーよりも遥かに高い断熱性能や施工品質で家を建てる工務店もたくさんあります。実際、大手メーカーは自分たちで施工しているわけではなく、結局は小さい工務店に依頼していることが多く、ブランドや安心感にお金を払っている面もあります。この辺りは、IT業界のSIerなどを思い浮かべますが、実際に完全に同じ構造になっているので、この記事を読んでいる読者の方々は大手SIerへの発注とそうでない会社への発注する場合のメリット、デメリットを考えてもらえると分かりやすいのではないかと思います。

ハウスメーカー探し

注文住宅を建てるにあたって一番重要なのがハウスメーカー選びです。地元の工務店から有名なハウスメーカーまで、たくさんの選択肢の中から自分たちがベストだと思う会社を見つける必要があります。この探し方も色々なパターンがあると思いますが、自分たちは目当ての土地を見つけた後で、住宅展示場を回ってハウスメーカーを探しましたので、それを例にとって書いていきます。

営業とのコミュニケーション

ハウスメーカーを選ぶにあたり、色々な要素がありましたが、自分たちにとって大きなポイントが2つあって、その1つが営業とのコミュニケーションでした。ネット上で口コミを見ると多くの辛口コメントのほとんどが担当営業とのやりとりの不満やコミュニケーションミスからくる様々な問題だと思います。自分たちも色々なハウスメーカーで話を聞いて見積もりをお願いすると、明らかに営業としての質や温度感が異なりました。例えば、自分たちの要望をただ聞いているだけで聞き出すことをしない営業、メールで連絡をしてもなかなか返事が来ない営業、営業側からアクションがなく自分たちでいろいろ話を進める必要があった営業、もちろん完璧な営業というのは存在しないなかで、どこを一番に置くかは人それぞれだと思います。自分たちは、とにかく一生懸命に自分たちと一番コミュニケーションをしてくれた営業のハウスメーカーにしました。家を建てるにあたり様々な工程がありますが、絶対に間違いはあります、しかしどんなにミスや漏れがあっても、コミュニケーションが取れないと何も始まらない、逆に言えばコミュニケーションさえ取れていればどうにかなると思っての選択でしたが、結果的には非常に良い選択をしたと思っています。

全体の設計

次に重要なポイントはもちろん家自体の設計です。元々、自分たちの要望は5LDKだけでしたが、色々なモデルハウスを見学すると決まって広々とした中庭があることが多かったです。自分たちの土地は建ぺい率40%で残りの60%は駐車場か庭になるのですが、住宅地とは言っても周りの家からや道路からの視線が気になります。そう言った面でも周りからの視線が気にならない中庭という選択肢は良さそうだと感じて、5LDK+中庭の家を建てることに決めてハウスメーカーと相談を始めました。

ただ、どのメーカーも中庭は難しいという回答が多かったです。モデルハウスと違い、実際に人が住む家を中庭付きで建てる場合、色々な制約が存在しました。

  • 豪雨対策
    • ロの字型だと水の逃げ場がないため、排水のために工夫が必要になります
  • 形が歪になることで発生する無駄なスペース
    • 特に家は基本的には総二階と呼ばれる一階と二階を同じ形で作ることが望ましいですが、中庭をセットにするとより多くの廊下スペースが生まれてしまいます
  • 中庭の施工経験が少ない
  • 外壁が多くなるため費用が高くなる
  • 家の中の動線に無駄が多くなる

こういった制約の中で中庭を実現しつつ、間取りとしてもベストを探して行かなくてはいけません。この辺りから、プロダクトの設計に似ているなと感じ始め、どんどん深みにはまっていきました。各社から出てくる設計書と見積もりを精査して、ここの検討が漏れているんじゃないか、ここを変えるとどのようになるか、こういう条件が追加で必要になった、ここの部分は不要なので削ってほしい、等々の膨大なやりとりが発生しました。また設計以外にも、各社から出てくる工程表もチェックする必要がありました。各社、得意としている施工と大工の空き状況や材料の手配にかかる期間も異なります。会社によっては完成予定日が、半年以上開きがある場合もありました。こう言った全ての要素を突き合わせて自分のベストとなる設計と共に会社を選ぶ必要があります。結果的には、中庭が一番綺麗に実現できている設計の提案があった会社を選びました。

施工管理

どのような会社も施工するのは大工さんです。大工さんの管理、現場の管理が行き届いているかをチェックしました。自分たちが選択したハウスメーカーでは現場の見学をさせてもらえました。実際に建築途中の現場に訪問しました。そこでしっかり掃除が行き届いている、道具の整理がきちんとされていることを確認し、また大工さんから直に話を聞くことができました。

また施工マニュアルとチェック表に関しても見せてもらいました。注文住宅クチコミでよく見た施工失敗の事例などを引き合いに出して、ちゃんとチェック表で網羅されているかなどを確認しました。

電気設備

我が家は全館空調を採用したので、全館空調について調べたことも書いていきます。全館空調は、各部屋ごとにエアコンをつけずに、家の小屋裏などに設置したとても大きな空調設備で家全体に冷房や暖房を実施する設備です。

  • 多機能全館空調
    • めちゃくちゃ高いです。でも物によっては、加湿機能がついてたり各部屋ごとの温度を調整できたりします。完全にオフィスです、すごい。
  • 比較的安い全館空調
    • それでも高いです。家全体の温度を一括で管理します。部屋ごとの細かい調整はできません。パワフルな空調で家全体を冷やす/暖めることができます。
  • Z空調などの普通のエアコンを使うタイプの全館空調
    • 普通とは言っても家庭用の中では強いものを使います。それでも圧倒的に安価です。また、故障の際には家電量販店で買い替えをできる点はメリットになります。

自分たちも最後まで悩みましたが、比較的安いタイプの全館空調設備にしました。夏しか経験してませんが、すごく快適です。常に家のどこに行っても涼しいです。ただ外気温が35℃を超えるような日は暑く感じました。というのも全館空調は、家全体を冷やす効果は高いですが、どうしてもエアコン単体で一部屋を冷やすのに比べると効率がとても悪いです。とても暑い日は、リビングは冷えているが、各部屋(特にPCが置いてあって人が作業している部屋)は冷え切らないというのが感想です。それでも個別にエアコンを付ける気にはならないですし、今後付けたくなったら付けれるようにエアコン用の穴やコンセントは用意はしました。また、冬になるとどうなるかは楽しみです。

そのほかの電気設備で特徴的なのは、出来るだけIoT対応の設備にしました。パナソニックがその辺りは強く、パナソニックのAiSEG2やドアホンを採用し、YKK電動シャッターやYKKヴェナートの玄関ドア電子錠、エコキュート連携でスマホから様々な操作ができるようになってます。この辺りでIoT用の無線プロトコルの話や逃れられない2.4GHz無線の話、赤外線最強説といった話もありますが割愛します。

照明

ライティングの世界は沼です。照明を検討している時が一番辛かったです。一般的なシーリングライトなら、そこまで迷わないんですが、我が家のLDKは埋め込みタイプのダウンライトにしたので、どのように設置するか何個設置するか等たくさん検討する要素がありました。

  • 拡散タイプか集光タイプか
    • 光を拡散させるもの、集中的に照らすタイプの2種類があります
  • 60Wか100Wか
  • リビングを明るく照らすのに必要な数
    • 数が多ければ良いという物ではないです、また多く付けるすぎると天井が穴だらけに見えます
  • 光の色をどうするか、電球色、昼白色、昼光色の選択肢があります
  • 家具との調和
    • ライトは照らしたいものを照らす物です、家具をどこに置くか、その家具でどのように過ごすかで選ぶライトは変わります

ライト1つで部屋の雰囲気はガラッと変わります。しかし、埋め込みタイプのダウンライトは天井に穴を開けるので、取り返しがつきません。またこだわり始めたらどこまでも沼に沈んでいけますが、ソフトウェア開発とは違ってパッチで修正もできませんし、テストもできなければリアルなシミュレータもないです。ライティングの本を読んで勉強し、様々な事例紹介を見て、考慮漏れがないか細部まで確認しました。それらの工程を経て、大体のあたりをつけてパナソニックショールームでリアルに近い配置でダウンライトを体験できる設備で最終チェックをしました。結果的にはとても満足にいく仕上がりになりました。

コンセント

みんな大好きコンセントの時間です。大体1個あたり数千円の出費で追加できました。照明と違って、別に多すぎても困らないのでたくさんつけました。必要に応じて、高さを家具に合わせて高くしたり、壁から離れたところには床コンセントも設置しました。またここでセットで有線LANケーブルを家中に引きました。将来も見越して、Cat6AのLANケーブルをCD管経由で各部屋に出しています。また、WiFiルータの設置のために、いくつかの収納の枕棚にもLANケーブルを出しました。これらの集約地点は、納戸の枕棚にしてそこにメディアボックスを設置しました。ここにONU、10Gスイッチ、ルータ、NASなどを設置しています。

また、壁がけTVを検討している人は忘れずに、設置したい壁の補強と一緒にTVを設置したい位置にコンセントを付けましょう。これは買うテレビのサイズ、テレビの裏面の配線などを考慮して一番良いコンセント位置を探る必要があります。この計算も地味に時間がかかりました。

水回り設備

主に、キッチン、トイレ、浴室、洗面です。こちらはキッチンハウス、パナソニックLIXILTOTOなどのショールームをしっかり回りました。我が家は、キッチンはグラフテクト、トイレはアラウーノ、浴室はアライズ(1620)、洗面はルミシスセレクトを選びました。正直、予算ははるかにオーバーしてとんでもないことになりました。ショールームは危険です、みなさん強い心を持って訪問してください(価格を使用日数で割ると実質タダに感じますが全然タダではないです、正気になってください)。しかし、こちらは完全に好みの世界になるので、何をどのように選んでも人それぞれだと思いますが、ミーレやボッシュ等の欧州メーカーの大きい食洗機だけは強くお勧めします。

その他

  • 床材
    • 無垢床と挽き板、突き板、シートの選択肢があります。無垢が本来の木そのものになっており人気があります。ただ値段やメンテナンス、掃除のことを考えて突き板を選びました。とても満足してます
  • 壁紙
    • 分厚い冊子から選択していきますが、めちゃくちゃ迷います。あらかじめインスタやインテリア系の事例紹介サイト、SNS等で下調べしておおよそのイメージをつけておきましょう
  • ウッドデッキ
    • 本物の木を使うほうが見た目には良いですが、メンテナンスや耐久性を考えると樹脂ウッドデッキが良いです
  • 窓とサッシ
    • 注文住宅のデファクトはペアガラス、アルミ樹脂混合サッシだと思います。我が家はより高断熱高気密が期待できるトリプルガラス、樹脂サッシを選択しました。遮音性能もアップして満足度が高いです
  • 外壁
    • 一般的な住宅の外壁はほとんどがサイディングだと思います。他の選択肢はモルタル、タイル、ALCなどがあります。見た目にはタイル外壁が一番良いかなと思いますが、メンテナンス性や性能面でALCを選択しました
  • 部屋の配置
    • 夫婦の仕事部屋はそれぞれ1階と2階に分けて配置しました。これはお互いに電話会議の音声が入らないように離れた位置にしたかったからです。逆に子ども部屋は隣接して同サイズ、同設備を意識して配置しました
  • 外回りの設備
    • 外での掃除などに何かと使うと思ったので水道は付けました。また、二箇所に100Vの外コンセントを付けています。これは高圧洗浄機で外壁の洗浄をしようと考えていて、家の全周をカバーできるように設置しました。また、駐車場スペースに200Vコンセントを2つ設置しました。これは将来ガソリン車がなくなり電気自動車になることを見据えて設置しました。しかし、ある程度お金を出せば後からでも設置可能なので、1つでも良かったかなと今は思っています

様々な問題と対処

ハウスメーカー担当の方はプロですが、人間がする仕事に完璧はありません。重要なことは、自分たちがお客様であるという感覚を捨て1人称で取り組むことです。今回、私は家を建てるにあたって様々なことを勉強しました。担当者が見落としていた部分は自分が拾って指摘できるように、また自分たちの要望を正確に伝えるために、コミュニケーションミスにより図面に反映されていなかった点を指摘できるように、様々な場面で勉強した内容が役に立ちました。また、設計段階では修正できていた部分が実際の施工では反映されていなかったりということもあります。それもきちんと自分たちが気付いて指摘できれば、すぐに修正してもらえますが、気付かずに住み始めてから判明すると施工のやり直しはかなり手間がかかります。自分たちがしっかり知識をつけて、担当の方とよくコミュニケーションが出来ていればどのような問題にも対処できました。

ローン

これを話し出すと、またすごく長くなるので割愛しますが、ポイントとしては金利と団信特約オプションが重要ではないでしょうか。また注文住宅でローンを借りるにあたっては、つなぎ融資、分割融資ができるかどうかも重要なので気をつけましょう。

外構工事

ハウスメーカー工務店は家は作ってくれますが、外構と呼ばれる家の周りの設備(庭、玄関、駐車場等)は作ってくれません。外構専門の業者を探して発注する必要があります。こちらの手順ややり取りはハウスメーカー選びとほぼ同じです。ただ、どういう外構にすれば良いか、どういった予算感なのかは注文住宅以上に難しい面もあります。私は 庭ファンYoutube動画をひたすら見て勉強しました。

住んでみての感想

最高です。設計の段階で、自分たちがどういう家に住みたいか、この家に住んだらどういった生活ができるかを考え抜いて作っただけはあり、本当に自分たちにとって最高に居心地の良い家になりました。これから、自分たちの趣味や生活スタイルの変化でたくさん手を加えていきたいと思っています。

最後に

このような最高の家を作ることができたのは、担当して頂いたハウスメーカーの営業の方、設計の方、施工責任者の方、様々な関係者の方々のおかげだと思っています。本当にありがとうございました。

これを読んでいる皆さんへ、もし注文住宅をご検討の際にはここに書かれていることを話半分に参考にして頂ければなと思います。またもし注文住宅を検討されている方は、お値段に関しては覚悟しておいてください。気付いたらとんでもない金額になっています。私もこれから莫大なローンを返済する日々が始まりました。莫大なローンを爆速で返済できる高収入なポジションを紹介して頂ける方、Twitter経由で良いので教えてください。